あなたの心を❤️で満たして
やれやれ…と呟き、あれは教授にしている頼み事をどうするのかと迫られていただけだと説明した。


「彼女に話してないというのは誰のこと?私のことじゃないんですか?」


しつこく聞き返す私に、彼も困った様な目を向けて。


「……君のことじゃないよ。別の人のこと」


呆れるように目線を逸らし、握っていた手首を解いた。


「今夜は君の具合がどうかと思って早目に帰ってきたんだけど、その調子なら大丈夫みたいだな。怒る元気もあるし、走る気力もあるようだ」


嫌味を言い渡し、私の顔を見下ろす。
少し怒ったような表情でいる彼を視界に収め、ごめんなさい…と項垂れた。



「取り乱して……すみません……」


謝りながら力が抜けるようにペタン…と床に座り込んだ。
今回のことは誤解だったとしても、やはりこの家からは出たい……。


ションボリと肩を落とす私の向かい側に彼がしゃがみ込む。顔を覗き込むように眺め、自分の推理を話した。


「今の話の出所は廣瀬さんだろ。あの人、和田教授のことが好きじゃないからな」


そう言うと何も言えずにいる私に笑いかけ、夕食は食べた?と聞いた。

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