あなたの心を❤️で満たして
「…はい。廣瀬さんが帰る前に」
一人で食べるのは嫌だから、せめて彼女がいるうちに食べようと考えた。
黒沢さんは、そうか…と囁き、自分の分もある?と訊ねる。
「ありますよ…温めますか?」
そう話すと頼む…と言い、私の手を取り立ち上がらせてくれた。
「さっきみたいに、いきなり出て行くとか言うのは止めよう。心臓に悪いし冗談にも程がある」
私は半分以上本気で言っていたのに、彼にとっては冗談にしか聞こえてなかったみたいだ。
温度差を感じながらも、はい…と呟いた。
二人で廊下を歩きながら、心が彼から遠ざかっていくような気がしたーーー。
夕食を丸呑みするかの様な速さで食べ終えた黒沢さんと一緒に二階へと向かう。
彼は相変わらず私の後を付いてきて、無言で明かりを消して歩く。
そんな彼の行動にビクビクとしながらも私はそれをひた隠して足を前に進める。
とにかく一度も後ろを振り返らず、ひたすら自分の部屋を目指してーーー
「おやすみ」
ドアの前まで来ると後ろから声が聞こえ、ビクッとしながらも振り返った。