あなたの心を❤️で満たして
ドアの前に居た三上さんが、見兼ねた様子で側に来て、まあお座りになって…と椅子を示す。
隣をガン見していた私はハッと我に戻り、その視線を逸らして椅子に座った。
「どうぞ。こちらです」
万年筆を手渡しながら、反対の手で署名欄を指差す三上さん。
緊張しまくっていたせいで文字が乱れそうになるのを必死で抑え、なんとか『花菱留衣』と名前を書いて振り仮名を付けた。
「ご住所も」
そう言われてあの家の住所でもいいのかと戸惑った。
世帯主は誰にすればいいのかさえも分からない。
「あの…」
三上さんに質問をしようかと思って見たら、先に「住んでおられたご住所で構いません」と告げられた。
「世帯主はお祖母様のお名前で」
その言葉を聞いてすごくホッとした。
何度も書いてきた住所を書き終えると、三上さんは「ご両親の氏名もお書き下さい」と私に言った。
「両親の名前?」
一瞬頭の中で強く拒否した。
あの人達は私の親なんかではない。
でも……
「……分かりました」
こんなところで駄々をこねる訳にもいかないから我慢する。
隣をガン見していた私はハッと我に戻り、その視線を逸らして椅子に座った。
「どうぞ。こちらです」
万年筆を手渡しながら、反対の手で署名欄を指差す三上さん。
緊張しまくっていたせいで文字が乱れそうになるのを必死で抑え、なんとか『花菱留衣』と名前を書いて振り仮名を付けた。
「ご住所も」
そう言われてあの家の住所でもいいのかと戸惑った。
世帯主は誰にすればいいのかさえも分からない。
「あの…」
三上さんに質問をしようかと思って見たら、先に「住んでおられたご住所で構いません」と告げられた。
「世帯主はお祖母様のお名前で」
その言葉を聞いてすごくホッとした。
何度も書いてきた住所を書き終えると、三上さんは「ご両親の氏名もお書き下さい」と私に言った。
「両親の名前?」
一瞬頭の中で強く拒否した。
あの人達は私の親なんかではない。
でも……
「……分かりました」
こんなところで駄々をこねる訳にもいかないから我慢する。