あなたの心を❤️で満たして
「あーあ、退屈」


下手に家が広いと返って身を持て余すと言うか、掃除しても終わらないからどんどん億劫になってしまう。

やはり自分には前の家くらいの広さが丁度いいな…と思いながら目を閉じ、シ…ンと静まり返った空気の中で居眠りを始めた。




夢の中で、私は小さい子供に返っていた。
丁度四歳くらいで、祖父に手を引かれて歩いている。


どうしてそうなったのかは思い出せない。
両親の離婚と何か関係があったのだという以外に見当もつかない。



『ーー留衣、今日から此処がお家だよ』


そう言われて顔を上げると、ブルーの壁が目に入った。
玄関のドアの上にはクルクルと何かが回り、祖父に向いて『あれは何?』と指差した。


『風見鶏だよ。風の吹く方向を教えてくれるんだ』


『ふぅん。カザミドリ』


字も分からず、だけど面白いなと思った。
祖父に連れられて家に入ると、父に顔の似ている祖母が現れて、今日から宜しくね…と笑いかけられたのだ。


『パパとお祖母ちゃんは似てるね』


そう言うと祖母は悲しそうな目をした。
言ってはいけなかったのかと思い、子供心ながらに(しまった…)と考えた。


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