あなたの心を❤️で満たして
教授は真剣そうな目をしている私に微笑み、真摯に答えを返してくれた。


「それは、お互いがそうありたいと願えばなれると思いますよ。新婚の時は何かと悩むことも多いですけど、そのうちしっくりと馴染む筈です」


大丈夫…と最後に付け足し、あんな男だけどイケメンだから…と笑った。


「黒沢君はルックスだけで女心を釘付けに出来る奴ですから」


貴女も顔に惑わされないように…と言いだし、今のも内緒に…と指を立てた。

折角いい言葉を聞いたように思えていたのに、最後のジョークで良さが半減したように感じる。
けれど、折角の忠告だから記憶には残しておこう。



ロータリーでタクシーに乗り込み、教授を最寄り駅まで送ると、そのまま要塞屋敷へ向かってくれるように…と運転手に住所を告げた。


揺られながらバッグの中身のことを考え、あの振込主の「ワダ カズヨシ」は一体誰だろうか…と悩んだ。



(やっぱり教授なんじゃないのかな)


何となくだけど、そういう気がしていた。
フランクで寛容な人柄を思い浮かべながら、いい人だよね?と半分疑い始めていたーーー。



< 139 / 283 >

この作品をシェア

pagetop