あなたの心を❤️で満たして
「こちらに留衣様が署名されれば終了です」
やっとか……と気が抜けそうになるのを引き締め直し、最後まで気を張り詰めて書き終えた。
印鑑を押してしまえば婚姻は成立。だけど、本当に私でいいのかな?
ちらりと右に視線を走らせようとした。でも、相手はもう既に印鑑を押しているのだからいいのだ…と判断して止めた。
(お祖母ちゃん、私、幸せになるよ…)
そう念じながら印を押し、その朱色を見つめる。
多分、これから先はあまり使うこともないだろう『花菱』の印。その重い名前を捨てて、私はようやく歩き出すーーー。
「それでは、それぞれのお支度をどうぞ。私はこの書類を提出しに市役所へ行って参ります」
印鑑を押した用紙をバッグの中に入れ、三上さんが部屋を出て行こうとした。
「えっ?」
「よろしく頼む」
「は?」
思わず隣を振り向いた。
婚姻届というのは、夫婦になる人達が出しに行くものだと思っていたから驚いた。
目をぱちくりとさせている私とは違い、向こうはさっさと席を離れて着替え室へ行こうとする。
「…あの!」
やっとか……と気が抜けそうになるのを引き締め直し、最後まで気を張り詰めて書き終えた。
印鑑を押してしまえば婚姻は成立。だけど、本当に私でいいのかな?
ちらりと右に視線を走らせようとした。でも、相手はもう既に印鑑を押しているのだからいいのだ…と判断して止めた。
(お祖母ちゃん、私、幸せになるよ…)
そう念じながら印を押し、その朱色を見つめる。
多分、これから先はあまり使うこともないだろう『花菱』の印。その重い名前を捨てて、私はようやく歩き出すーーー。
「それでは、それぞれのお支度をどうぞ。私はこの書類を提出しに市役所へ行って参ります」
印鑑を押した用紙をバッグの中に入れ、三上さんが部屋を出て行こうとした。
「えっ?」
「よろしく頼む」
「は?」
思わず隣を振り向いた。
婚姻届というのは、夫婦になる人達が出しに行くものだと思っていたから驚いた。
目をぱちくりとさせている私とは違い、向こうはさっさと席を離れて着替え室へ行こうとする。
「…あの!」