あなたの心を❤️で満たして
今朝は何も言わず、彼は黙々と朝食を口に運んでいる。
豆腐の味噌汁と塩だけのおにぎりがあっという間になくなり、指先を伸ばした両手が重なり合う。
それを見るのも今日がラスト。
毎朝食べて貰えて嬉しかった。
「ありがとう」
ついお礼を言い、向かい側に座る人の視線とぶつかる。
ルックスだけで女心を虜に出来ると教授が言ったように、確かに魅力的な人だ。
「…ああ。いや」
そのルックスとは違い、言葉数の少ないのがギャップだった。
結局、彼と一度もまともに話せなかった。
後悔があるとしたら、それだけだ……。
「行ってらっしゃいませ」
廣瀬さんと一緒に玄関先で見送った。
新婚らしいキスも何もない別れ。
「今夜も帰れたら帰るから」
遅くなっても…と言い残すと背中を向けて出て行く……。
(さよなら、黒沢さん)
行ってらっしゃいの代わりに胸の中で別れを告げた。
その後はこっそり家から出る準備を始めた……。
豆腐の味噌汁と塩だけのおにぎりがあっという間になくなり、指先を伸ばした両手が重なり合う。
それを見るのも今日がラスト。
毎朝食べて貰えて嬉しかった。
「ありがとう」
ついお礼を言い、向かい側に座る人の視線とぶつかる。
ルックスだけで女心を虜に出来ると教授が言ったように、確かに魅力的な人だ。
「…ああ。いや」
そのルックスとは違い、言葉数の少ないのがギャップだった。
結局、彼と一度もまともに話せなかった。
後悔があるとしたら、それだけだ……。
「行ってらっしゃいませ」
廣瀬さんと一緒に玄関先で見送った。
新婚らしいキスも何もない別れ。
「今夜も帰れたら帰るから」
遅くなっても…と言い残すと背中を向けて出て行く……。
(さよなら、黒沢さん)
行ってらっしゃいの代わりに胸の中で別れを告げた。
その後はこっそり家から出る準備を始めた……。