あなたの心を❤️で満たして
貴女は誰……?
その人が来たのは午後だった。
午前中から頭痛がすると嘘を吐き、私は自室で荷物をまとめていた。
コンコン、とノックが響いた時は慌てて、オドオドしながら声を返した。
「……はい」
出来るだけ元気がなさそうに、それから少しくぐもった声を出すと、ドアの向こう側にいる廣瀬さんは、大変申しわけありません…と済まなさそうに言ってくる。
下手にドアを開けられたら困る。だから、自分からドアへと寄って行った。
「何ですか?廣瀬さん…」
ドアを開けずに訊ねると彼女は一言こう言った。
「お客様が参りました」
「お客様?」
私に?と思いつつ誰だろうかと思案する。
「厚志様の職場関係の方なんですが…」
言いにくそうにするものだから気になり、隙間を空けて顔を覗かせると、ドア越しに立つ廣瀬さんは神妙そうな顔つきで、小さくお辞儀をして「お休みのところ申し訳ございません」と謝った。
「いえ、別に」
休んでいた訳ではないから大丈夫…と頭の中で反省しつつ耳を傾ける。
廣瀬さんは階下にいる人に声が届かないように気遣っているみたいで、ボソボソと小声で囁いた。
午前中から頭痛がすると嘘を吐き、私は自室で荷物をまとめていた。
コンコン、とノックが響いた時は慌てて、オドオドしながら声を返した。
「……はい」
出来るだけ元気がなさそうに、それから少しくぐもった声を出すと、ドアの向こう側にいる廣瀬さんは、大変申しわけありません…と済まなさそうに言ってくる。
下手にドアを開けられたら困る。だから、自分からドアへと寄って行った。
「何ですか?廣瀬さん…」
ドアを開けずに訊ねると彼女は一言こう言った。
「お客様が参りました」
「お客様?」
私に?と思いつつ誰だろうかと思案する。
「厚志様の職場関係の方なんですが…」
言いにくそうにするものだから気になり、隙間を空けて顔を覗かせると、ドア越しに立つ廣瀬さんは神妙そうな顔つきで、小さくお辞儀をして「お休みのところ申し訳ございません」と謝った。
「いえ、別に」
休んでいた訳ではないから大丈夫…と頭の中で反省しつつ耳を傾ける。
廣瀬さんは階下にいる人に声が届かないように気遣っているみたいで、ボソボソと小声で囁いた。