あなたの心を❤️で満たして
「先日、私が勘違いをしていた和田教授の娘さんだと思っていた方が来られたのです。厚志様と同じ白沢薬品の研究所で働いている方だそうですが……」


「その方が何しに？彼は職場にいるんでしょ？」


まさかサボりなんてことはない筈だ。私をこの広い家に置き去りにしてまで研究を続けている彼だもん。


「はい…そうなのですが…」


廣瀬さんは眉間に皺を寄せて、その人が来た理由を述べ始めた。


「どうやら今夜は研究所にお泊まりになる可能性が高くなったとかで、宿泊用の荷物を取りに行ってくれないだろうかと頼まれたのだそうです」


「えっ…黒沢さんから！？」


驚くように訊ね、自分が彼のことを苗字で呼んでいるのがバレてしまったとハッとした。
でも、廣瀬さんはそれに表情を変えることもなく、真面目な顔つきのままで「はい」と言う。


「全く何を考えているんでしょうね。新妻のいる家に女性を寄越すなんて」


やっぱり朴念仁だわ…と嘆く廣瀬さんを目に入れ、新妻と呼ばれる程、彼には何もしていないけど…と考えた。


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