あなたの心を❤️で満たして
身長だけ見ると黒沢さんとは絶対に合う。
並んでみたら映えるだろうし、きっと恋人同士と間違われてもおかしくないくらいのスタイルだ。


オズオズと手を伸ばしながらそう思い、両手で受け取った名刺を見つめる。

『白沢薬品研究所 主任補佐 蒲池 晴香（かまち はるか）』と印字された文字を見て、「主任補佐？」と呟いた。


「私は黒沢主任の研究補佐をしております」


胸を張る女性に視線を移し、そうですか…と囁いてまた名刺に戻った。

補佐という仕事がどんなのかは分からないけれど、宿泊の荷物を取りに来るということは、所謂秘書みたいな感じのことを担っているのだろうか。



「あの…どうぞお上がり下さい…」


立ったままで話をするのもいけないと思い、スリッパラックから来客用のスリッパを引き抜いて置いた。


「いえ、此処で結構です」


女性はキッパリと断り、靴を脱ごうとはしない。
こっちは少し面食らい、そのままの状態で彼女と二人きりでいるのか…と嫌になった。


「先程は失礼致しました。厚志さんから結婚したことは聞いておりましたが、まさか事実だとは思えなかったものですから…」


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