あなたの心を❤️で満たして
「私、厚志さんとは大学の同期生なんです。大学院でも同じ教授に師事していて、研究分野も似通っていたものですから、今の研究所に迎え入れて頂いて」


感謝しております…と話すのを聞きながら、成る程、それで廣瀬さんが勘違いをした訳か…と納得がいった。
そうですか以外の言葉も返せず、そのまま口籠っているとーー。


「奥様はいつから厚志さんとお付き合いを?彼が女性と付き合っているというのは、全く聞いておりませんでしたが…」


自分以外はね…と言いたいのか。
こっちはそれに何と答えていいか迷い……


「いえ…あの…」


まさか、初めて会ったその日に入籍をしてお披露目式を挙げました…と言うのも格好が悪い。

けれど、黒沢さんはこの人に結婚したことを告げているみたいだし、それならば馴れ初めとか、祖父同士の間で結ばれていた縁談だと話しておいても良さそうなのに。


「……私達…祖父同士が同級生で…」


そこまで言うと、二階から廣瀬さんが下りてきた。
スーツケースと小さいバッグを手に持ち、大変お待たせ致しました…と謝る。


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