あなたの心を❤️で満たして
「…いえ、さほどでも」
ニッコリ笑うと廣瀬さんから荷物を受け取り、すぐさま出て行こうと踵を返した。
「あ…そうだ」
歩み出すのを止めた人が振り向いて私を視界に入れる。
横向いた彼女の胸の膨らみが大きいのに気づき、ドキン…と心臓が弾んだ。
「何か厚志さんにご伝言はありますか?私から伝えておきますけど」
それは研究の補助をする彼女の務めなのか。
それとも、恋人として彼に嫌味を言いたいだけか。
「……特別にありません」
この家から出ます、と伝えてもらう訳にもいかないし。
私がそう言ったまま黙ってしまうものだから、蒲池さんは肩を竦めて「まあそうですね」とこぼした。
「私がお伝えしなくても今はメールとかLINEもありますしね」
それでは…とドアを開けて出て行く。
その背中に向かい、私は彼のメールアドレスもスマホの番号も知りませんよ…と思っていた。
「全く、どの人も朴念仁ばかりで」
ドアの外で彼女を見送った廣瀬さんは、中に入るなりそう言った。私が彼女の言葉に同調しないでいたら、きゅっと唇を窄めて不満そうにしている。
ニッコリ笑うと廣瀬さんから荷物を受け取り、すぐさま出て行こうと踵を返した。
「あ…そうだ」
歩み出すのを止めた人が振り向いて私を視界に入れる。
横向いた彼女の胸の膨らみが大きいのに気づき、ドキン…と心臓が弾んだ。
「何か厚志さんにご伝言はありますか?私から伝えておきますけど」
それは研究の補助をする彼女の務めなのか。
それとも、恋人として彼に嫌味を言いたいだけか。
「……特別にありません」
この家から出ます、と伝えてもらう訳にもいかないし。
私がそう言ったまま黙ってしまうものだから、蒲池さんは肩を竦めて「まあそうですね」とこぼした。
「私がお伝えしなくても今はメールとかLINEもありますしね」
それでは…とドアを開けて出て行く。
その背中に向かい、私は彼のメールアドレスもスマホの番号も知りませんよ…と思っていた。
「全く、どの人も朴念仁ばかりで」
ドアの外で彼女を見送った廣瀬さんは、中に入るなりそう言った。私が彼女の言葉に同調しないでいたら、きゅっと唇を窄めて不満そうにしている。