あなたの心を❤️で満たして
「お荷物も留衣様が研究所にお持ちになればよろしかったですね」


「えっ?私が?」


「夫の職場の雰囲気を知っておくのも大事ですよ」


研究員の顔ぶれやお立場を理解する意味で…と付け足し、次はそうなさいませ…と勧めてくる。
次も何も今夜出て行く気でいる私に、それをする必要があるだろうか。

でもーー


「分かりました。次の機会に恵まれたらそうします」


この家に来てから廣瀬さんには何かとお世話になった。だから、少しでもご恩返しになれば…と思い、そう返した。


「それじゃあご一緒にお茶でもしませんか?頭痛の具合は如何です?」


「あ…大分いいです」


そうだった。噓を吐いてたんだ。


「頭痛に効くハーブティーでもお淹れしますから、リビングで待っていて下さい」


「はい。ありがとうございます」


ごめんなさい…と心の中で謝りながら廊下を歩き出す廣瀬さんの背中に付いて行く。

胸の中ではさっきの余裕綽々だった蒲池さんの態度が気になり、何処となく歯痒さが渦巻いていた。



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