あなたの心を❤️で満たして
一番端の部屋の前で立ち止まり、蒲池さんは振り返った。
そのドアもやっぱり磨りガラスが嵌められていて、ある意味とても怪しい雰囲気。


「このニ、三日ずっとこの部屋に詰めてまして、臨床結果のデータを元に新薬の改良を重ねている最中なんです」


そう言うと徐ろにドアを開けようとするから焦った。


「いいんですか!?」


慌てて聞くと蒲池さんは振り向き。


「ドアは二重になっているので大丈夫です。これを開けても直ぐに研究室に入れる訳ではありません」


細菌とかウイルスをカットする意味なのか。
かなり厳重だなと思いつつ感心していると、蒲池さんはサッとドアを開けて私を中に招き入れた。


そこには三畳程度の小さな部屋があった。
白い長テーブル一つと折りたたみ椅子が三脚ほど置いてあり、他には毛布以外何もなくてーー。


「此処は仮眠室と言うか、本来は休憩室なんですけど、主任はあまり休憩をしない方なので、休んでいる時はほぼ寝ている様な感じで…」


「此処で?」


「そうですよ。他にちゃんとした仮眠用の部屋があるのに自分は此処でいいから…と言われて寝ています。…あの椅子を並べて」


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