あなたの心を❤️で満たして
「厚志さん!大丈夫!?」


肩に手を掛けると心配そうに顔を覗く。
近寄る二人の距離に胸が鳴り、ただ呆然とその様子を見るしかなかった。


「いつも言ってるじゃないの!適度に休んでって!」


小言を言いながらも蒲池さんは黒沢さんの体を支え、何とか折りたたみ椅子に座らせる。
彼は軽い目眩を覚えただけだとこぼし、顔を上げようとするけれど無理みたいでーー。


「無理しなくてもいいから少し休んで。薬の改良もかなり進んでいるし…」


中に入った時に確認したようだ。
流石は補佐役。凄いとしか言いようがない。



(それに引き換え、私は何の役にも立たないな)


お弁当を作って持ってきたところで、彼の邪魔になるだけのよう。
数日間緊張し続けて疲労していた体には、それが必要だったかどうかも怪しい。


(要らないことしたのかな…)


何となくそんな気がしてきて、目の前にいる二人を見ているのも遣る瀬無くてーー。


「……すみません、私、帰ります」


フラついた旦那様を放ってごめんなさい。

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