あなたの心を❤️で満たして
蒲池さんは、根を詰めて研究に没頭するところも含めて、黒沢さんが好きだと言いたかったんじゃないのか。

結婚したことが信じられないと話していたし、もしかしたら、共に研究に立ち合える自分の方が、結婚相手としては相応しいと思っているんじゃないのか。


薬のことも研究のことも、私は何も知らない。
そんな私が相手では意味がないと彼女は思っているんじゃないのか。

それを口にしては失礼だと思い、声に出すのを止めただけではないのか。

何だかそんな気がしてきてーーー。



「……黒沢さん、どうして私と結婚したの?」


それが不思議でならなかった。
お祖父様の決めた相手だからと言って、こんな自分を妻にする必要もなかったと思うのに。


「早く起きて。そして、話しましょう…」


貴方が考えていることを教えて欲しい。
そして、これからどんな夫婦になればいいかを知りたいーー。


「…でも、とにかく今が一番近くに居るね」


クスッと思わず微笑む。
結婚してから初めてだと思いながら、そっと寝顔に手を添えた。


温かい肌の温もり。
ちゃんと生きてると思うと安心して、涙が目に浮かんだ……。


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