あなたの心を❤️で満たして
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花菱留衣の祖母と会ったのは、三上弁護士と話した二日後のことだ。
孫の留衣が部屋を出て行ったのを確認し、彼女の病室に入った。
ぱっと見、先日よりも状態は良くなかった。
疲れているのか目は閉じられていて、話すのは一瞬無理そうかと思われたが……。
気配に気付いたのか開眼し、無言で誰?と聞いているように目を向けてくる。
俺は側にあった丸椅子に腰掛け、今晩は…と挨拶をした。
『先日お会い致しました白沢薬品の研究員で黒沢と言います。黒沢秀五郎の孫だと言えば、お分かりになりますか?』
そう言うと、彼女の目が一瞬見開き……
『……よく…存じております……』
表情も変えずにぼそりと呟く。
肘の伸びきった両腕を上げ、ゆっくりと手を合わせるような仕草を取ろうとした。
『この間、亡くなられたご主人様が祖父宛てに書いた手紙を読みました。孫娘さんに遺すつもりでおられる財産を護って欲しい…と願われていましたね』
ご存知ですか?と確認すると、動かし難い首を懸命に縦に振る。
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花菱留衣の祖母と会ったのは、三上弁護士と話した二日後のことだ。
孫の留衣が部屋を出て行ったのを確認し、彼女の病室に入った。
ぱっと見、先日よりも状態は良くなかった。
疲れているのか目は閉じられていて、話すのは一瞬無理そうかと思われたが……。
気配に気付いたのか開眼し、無言で誰?と聞いているように目を向けてくる。
俺は側にあった丸椅子に腰掛け、今晩は…と挨拶をした。
『先日お会い致しました白沢薬品の研究員で黒沢と言います。黒沢秀五郎の孫だと言えば、お分かりになりますか?』
そう言うと、彼女の目が一瞬見開き……
『……よく…存じております……』
表情も変えずにぼそりと呟く。
肘の伸びきった両腕を上げ、ゆっくりと手を合わせるような仕草を取ろうとした。
『この間、亡くなられたご主人様が祖父宛てに書いた手紙を読みました。孫娘さんに遺すつもりでおられる財産を護って欲しい…と願われていましたね』
ご存知ですか?と確認すると、動かし難い首を懸命に縦に振る。