あなたの心を❤️で満たして
『お願い…します…』
そう囁くと涙をホロリと零した。
途切れつつも話してくれたことは、病室を出た後もずっと胸に残って切なかった。
花菱珠恵さんは、俺にこんな話を聞かせたーーー。
『留衣は、自分が要らない子供だったんだと思いながら育ってきたと思います。
両親から見離されて、だから、私達夫婦に育てられてきたんだと勘違いをしていると思うのです。
父親については、少なからずそうだったと思います。
あの子は常に自分の為にしか動いていなかったから。
……でも、母親は違う。
彼女は私達が留衣を引き取ったと知った後から、事ある毎に便りを寄せてきて、節目節目で留衣に贈り物をしてきました。
けれど、自分が会いに来ることは避けたのです。
留衣は母親に捨てられたと思っているだろうから…と言って、私達夫婦と幸せに暮らしているならそれを搔き乱したくないと話し、申し訳ないけれどお願いします…と頼まれました。
再婚をしてからは便りも減り、留衣は余計に孤独感を増していったのではないかと思います。
短大を卒業してからは職にも付かず、私のことを一生懸命に介抱してくれました。
そう囁くと涙をホロリと零した。
途切れつつも話してくれたことは、病室を出た後もずっと胸に残って切なかった。
花菱珠恵さんは、俺にこんな話を聞かせたーーー。
『留衣は、自分が要らない子供だったんだと思いながら育ってきたと思います。
両親から見離されて、だから、私達夫婦に育てられてきたんだと勘違いをしていると思うのです。
父親については、少なからずそうだったと思います。
あの子は常に自分の為にしか動いていなかったから。
……でも、母親は違う。
彼女は私達が留衣を引き取ったと知った後から、事ある毎に便りを寄せてきて、節目節目で留衣に贈り物をしてきました。
けれど、自分が会いに来ることは避けたのです。
留衣は母親に捨てられたと思っているだろうから…と言って、私達夫婦と幸せに暮らしているならそれを搔き乱したくないと話し、申し訳ないけれどお願いします…と頼まれました。
再婚をしてからは便りも減り、留衣は余計に孤独感を増していったのではないかと思います。
短大を卒業してからは職にも付かず、私のことを一生懸命に介抱してくれました。