あなたの心を❤️で満たして
歩き難くなったら車椅子を押してくれて、毎日毎日、リハビリにも付き合ってくれて。

育ててくれたから当然だと笑い、涙の一粒だって零しもしないで。


……本当に有難くて強い孫です。
だからこそ、誰よりも幸せになって欲しいと願っています。


あの子の大好きな桜の木があるあの家で暮らし、慎ましくてもいいから愛に溢れた人と寄り添って生きていって欲しい。


あの子の寂しさを理解して、流す涙を拭いてくれ、共に笑い合える相手に巡り合うことを祈っています。


その願いを叶える為なら何でもします。どうか留衣の為に…ご尽力下さい……』


何度も息を荒くしながら訴え、こっちは胸が痛くなった。

お互いを思い遣る孫と祖母の関係が羨ましくもあり、同時に胸が締め付けられる程、痛かったーーー。


『大丈夫です。残された財産は必ず守り抜きます。それから、留衣さんも大切にしますから』


そう言って拳になってしまった手を包んだ。
留衣の祖母はハッとした表情を見せ、唇だけで『貴方が…』と動かした。


頷くと唇をぎゅっと噛みしめ、顔を歪めながら『お願い…』と細く声を発した。


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