あなたの心を❤️で満たして
責められているのか、自分を責めているのか。
どっちか分からない感じでそう言うと黙り、俺は彼女の言葉を待った。




「どうして」


そう呟くと顔をこっちに向け直す。
少し怒りを含んでいるような目で見て、キッパリと訊ねた。


「どうして私の住んでいる家を教授の名義で買ったんですか?あの家が私にとって、どんなに大事で意味ある場所か、貴方には分からなかったの!?」


ぎゅっと手を握りしめ、ぐっと泣きそうになった表情のままで睨み付ける。

こっちはどうして彼女の耳にそれが伝わったのかが分からず、目を見開いたままでものが言い出せなかった。



「だんまりですか?」


怒り口調で一言漏らし、俺は慌てるように、いや…と声を発した。
頭の中で咄嗟に考え、教授が彼女に言ったのでは…と思いついた。


「もしかして、教授から何か聞いた?」


あれ程もう少し時間が欲しいと頼んでいたのに。


「先日、電話がありました。私がその前にお会いした時に『家を買わなかったですか?』と聞いたから、その事についてお話をしておこうと思われたと言われて…」


「会った!?教授に!?」


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