あなたの心を❤️で満たして
いつ!?…と驚いて聞き返す彼を視界に入れ、黒沢さんが研究所に泊まり込む前、と答えた。


「通帳に印字されている名前が和田教授と同じだったから、ひょっとして…と思って。ご本人かどうかが確かめたくて、会う時間を作って下さいとお願いしたんです」


何もかも包み隠さず話すことで黒沢さんのことを知りたいと思った。
彼がどうしてそんな事を教授に依頼したのか、真意はどこにあるのかが知りたい。


「教えて下さい。教授が仮契約人ってどういうことなんですか!?」


起きぬけで頭もまだ働いてなさそうな黒沢さんは、ちょっと待って…と髪の毛を両手で搔き上げる。
そのまま頭を抱え込むようにグシャリと握り、じっとしたままで目を閉じた。


ニ、三十秒間ほどそのままの状態で沈黙を続けていた彼が、はぁ…と深い息を漏らした。
髪の毛を握っていた手を開き、掛け布団の上に下ろしてから顔を上げた。


「何を聞いても驚かないように。それから、此処ではなんだから別の場所で話すよ」


とにかく一旦帰ろうと言うと、枕元に置いてあるスマホを握って時間を確認した。


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