あなたの心を❤️で満たして
「え…まさか夜の七時!?」
私を振り返り、どのくらい寝ていた?と聞くものだから……
「昨日の五時前くらいに寝落ちしましたから、ざっと二十四時間以上は経ってますね」
インスタント味噌汁を飲ませたのは朝だ。それでも起きなくて、だから蒲池さんも呆れていた。
「マジかぁ…」
寝過ぎた…と後悔する声が聞こえて微かに笑い出しそうになった。でも、此処で笑うと私の真剣な思いが彼に伝わらない気がして我慢した。
黒沢さんはベッドから足を下ろすと側に立つ私に目を向け直しーー
「朝になったら出掛けよう。留衣に見せたいものがあるんだ」
「見せたいもの?」
そう聞くと優しそうに笑う。
頷く彼が手を貸して…と言うから、差し出された手を握って介助で立たせた。
よろめく体幹を支え、大丈夫ですか?と顔を上げるとーー
「平気」
そう言う彼の顔が近付き、ふわっと頬を手で包む。
ドキン…と胸が弾んで目が離せなくなって、そのまま近寄ってくる顔を見ていた。
「……今更だけど、俺には留衣が必要だよ。居てくれないと困る……」