あなたの心を❤️で満たして
聞かれているのかと思い、自分も一口吸ってみた。
どうも味噌の量を入れ間違えたらしく、言われてみれば少しだけ辛い。


「そうですね。ごめんなさい」


貴方が昨夜キスなんてするからですよ、とも言えずに黙り込む。
黒沢さんは別にいいと言いながら、ゴクゴクといつものように飲み干している。


その様子を向かいから眺め、どうしてこの人は毎朝味噌汁だけは飲むのだろうかと考えていた。

やっぱり普通の人と何処か違う感覚の持ち主なのか、ただ自分のペースを乱したくないだけなのか。


(……そうなると、彼の周りにいる人達は合わさないといけなくなるから大変よね)


自分も同じ家に住み続ける限りはそうなるのかも…と思い、出来るだけ自分のリズムを保ちたくて、部屋を別々にしているだけなのかもしれないなと思いだした。


食洗機に食器を入れると黒沢さんがキッチンを覗き、昨夜言ったように「出掛けよう」と誘ってくる。
昨夜はきちんと眠ったらしく、清々しいその顔を見ていると複雑で……。



「…はい」


オッケーはしたけれど何処へと聞きたい。
こっちは胸が鳴り過ぎて、あまりよく眠れなかったのに。


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