あなたの心を❤️で満たして
最初のうちは何とか笑顔を保持していた。
けれど、段々と頰の辺りがヒクついてくる。

隣にいる人はそうでもないのかな…と思いながら見上げても、背が高い分どうしても表情がよく見えない。


時々でいいからこっちを振り向き、気にしてくれてもいいのにな…と思うが、この人にはそういうサービス精神みたいなものはないみたいだ。


(まあ研究ばかりしている人のようだから無理なのかもね)


諦めて一生懸命に頬に力を入れたまま堪える。

最後のテーブルに着いた時に(やっと最後だ…)とホッとしたが、その途端に天井の明かりが全部消えて、そのテーブルの上だけにスポットライトが点いたから驚いた。


「……それでは、これから黒沢様のご両親様へお二人から花束の贈呈でございます。
新郎の厚志様からはご母堂様へ、新婦の留衣様からはお尊父様へお渡しをして頂きます」


(えええーーっ!ご両親ーーー!?)


いきなりそう言われても困るよ。

そういう方達も居るなら居るで先に言っててくれないと心構えも出来ないでしょう!?


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