あなたの心を❤️で満たして
「君の……お祖父さんとお祖母さんに」


「えっ!どういうこと!?」


祖父母を知ってるの!?と訊くと、黒沢さんはこれまでのことを語り出した。


祖父が亡くなる前、彼の祖父に手紙を書いていたこと。
その内容を受けて、三上弁護士と相談し、入院している祖母と面会した事実。

仮契約という形で、一旦別の人が家を買い取ることにしたのは、私が祖父母の家を相続したと父に分からせない為の工作で、この改修工事が済んだら名義を私に戻し、二人で住むつもりでいたことなど。


「どうしてそこまで念入りに計画する必要があったの?」


そう訊くと、父の借金について教えられた。
不渡りが出そうなのは数年前から何度もあったことらしく、その度に上手く切り抜けてきたらしい。


「君のお父さんは大口の先物に手を出さなければそこそこの利益が出せるんだ。だけど、大口の方が儲けが大きいからね。

一度成功すると病みつきになって、それを繰り返しては失敗を重ねてる。

お母さんと離婚したのもその所為なんだよ。お金に四苦八苦する日が続いて、お母さんの方はやりきれなくなってしまった。

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