あなたの心を❤️で満たして
側に誰かがいるという実感が欲しいのに言えなかった。
何処にも行かないという確証が欲しかったのに願えなかった。


誰でも良かった訳じゃない。
自分を愛してくれる人に側に居て欲しいーー。




「黒沢さん……!」


この人でもいいから。
最初は紙とか体だけの関係でもいいから。



「お願い……一人にしないで……」


もう嫌なの。
一人で誰かの帰りを待つのは。


暗い家の中に居るのは嫌。
一人で夜寝るのは嫌。


子供みたいなことを思っていると分かってるけれど、それくらいずっと、寂しかったーーー。




「ごめん…」


謝る声が聞こえて、あの明け方に見た夢のことを思い出した。
今と同じように誰かが私を抱いてくれた。
あったかくて優しくて温もりに包まれた。


それさえあれば生きていけると思った。
他には何も無くても、温もりさえあれば……。




(あれは……この人だったんだ……)


夢じゃなかった。
現実だった。


「黒沢さん…」


名前を呼びながら抱きついたら耳の側で声がした。


「だから、何度も言うけど留衣も黒沢だから」


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