あなたの心を❤️で満たして
そう言うと体を離して顔を見つめる。
間近に迫る彼を見て、自分のことを認識した。


「留衣はもう一人じゃないんだよ。俺の妻だと言っただろ。
これからいろんな事を二人でやっていくんだ。感情も分け合って、時間を重ねていこう。


俺は研究しか取り柄がない人間だけど、留衣のことは何があっても大事にする。

お祖父さんお祖母さん以上に留衣を思って大切にするよ。親よりも心配して、何処へも絶対にやらない。


家にもなるべく早く帰るようにするし、泊まり込む日が続いたら一昨日のように会いに来て。

留衣の顔を見たら安心した。味わえなかったけど、弁当も食べたかった…」


次々とくれる言葉は愛とか恋の囁きじゃない。
だけど、多分、家族として生きていくんだと彼が私に教えてる様な気がして……。



「……うん」


お弁当を作りながらパクパクと食べている彼の姿を想像していた。
ご馳走様と言って手を合わせ、嬉しそうに変わる表情を見るのを楽しみにしていたんだ。



「それから……」


照れくさそうに顔を少しだけ赤くして、黒沢さんの顔が近付く。その体温を肌で覚えながら彼のことを見つめ返した。


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