あなたの心を❤️で満たして
私がご両親に最高礼をしたからご満悦なのか、それとも、私をお嫁さんに出来て良かったとでも思っているのか。


どっちにしてもいい顔。
もっと見せて欲しいと思うけれどーー



(あーあ、そっぽ向いちゃった…)


素敵な笑顔だったのに。
この人ってシャイなんだろうか。


初対面の旦那様を全て知るのには、まだ相当時間がかかりそう。
それでも今のように、たまに微笑みかけて貰えれば、この結婚も頑張れるかもしれない。



お披露目式のラストは、黒沢さんのご両親と四人で出席者の方々に頭を下げ、お父様から出席者への感謝と私達二人をこれからも指導しつつ温かい眼差しで見守ってやって欲しいと願われて締め括られた。

それから会場の外で全員をお見送りして、帰ったのを確かめてからご両親とも別れ、それぞれの着替えをしに着付け室へと戻った。




「ふぅ……」


帯を緩められ、やっとお腹の底に空気が入ってくるように思う。
私が余りにも大きな息を吐くものだから、着付けのスタッフさんが小さく笑いつつ「お疲れ様でした」と言ってくれた。


「本当に草臥れました」


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