あなたの心を❤️で満たして
じっと顔を見つめたままそう思った。
諦めて妥協した上に、周りには居ないタイプだから胸に残っただけなんて。


「留衣?」


名前を呼ぶ彼を見て、うーん…と唸りたくなる。

一目惚れとか気に入ったとか、そういう言葉を期待してはいなかったけれど。


(ああ、でも、教授が言ってたっけ。この人は人の心が掴みにくいって)


こういう感じで何も考えずに言っちゃうんだ。
成程そういうことか…と改めて気づいた。


「何か怒ってる?」


…この言葉、前にも聞いたことがある。
蒲池さんを教授の娘だと勘違いして、電話の内容を勝手に解釈して非難した時と同じ。


「…あのね……蒲池さんは?」


「は?蒲池さん?」


「厚志さんは蒲池さんとはどういう関係ですか?」


本当に補佐役だけを頼んでいるの?
家に着替えを取りに来たり、帰らないと電話をかけてくるのも補佐の役目?


「どういうって…大学の同期で、今は研究所の同僚ってだけだよ」


「嘘っ!」


「嘘ついてどうするんだ。それ以外の真実もないのに」


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