あなたの心を❤️で満たして
「廊下の明かり。もう一階には用はないだろう?」


「…あ……うん…」


小刻みに頷くと厚志さんは電気のスイッチをオフにした。急に暗くなるとギクッとして、思わず肩に力が入った。


「怖い?」


大丈夫だよと歩きだす彼の歩調に合わせて踏み出す。
怖いのは明かりの落ちた廊下じゃなくて、間違いなく厚志さん本人の方だ。


(この人はどうしてこんなに落ち着いてるの!?)


研究一筋だったんじゃないの!?
女性経験も豊富なの!?


(そりゃこれだけの顔だもんね。引く手数多な状態だったかもしれない…)


だったら全て任せておけばいいんだ。
私は何も知らないんだから。


オドオドしながら階段を上がり、いつもなら左側へ向かうはずの彼が右に向いて歩きだした。


「…厚志さん?」


何処へ向かってるの?と問うような気持ちで呼んだ。
すると彼が振り返り、唇の端を上げてーー


「主寝室はこっちなんだよ。まだ入ったことないだろう」


「え…」


「廣瀬さんが部屋の管理してくれてたんだ。女性はデリケートだからいきなり同じ部屋で寝泊りなんて出来ません!とか言って」


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