あなたの心を❤️で満たして
『コンコン!』
軽快なノックの音に肩が上がり、ビクつきながらドアを振り返った。
「はい」と厚志さんが答え、ドアレバーが下がるのを見ていると、更に緊張は高まってーーー
「お待たせ致しました。ご到着になられましたよ」
そう言いながら入って来たのは柔らかな笑みを浮かべた廣瀬さんだった。
彼女に会うのはあの要塞屋敷を出て以来で、久し振りに会えたのが嬉し過ぎて、私は思わず名前を叫んだ。
「廣瀬さんっ!」
喜び勇んで迎えに行ったが、その後ろに立つ人の顔を見てビクッとなったまま立ち竦み……
「お母様ですよ、留衣様」
そう言って廣瀬さんは前を避けた。
細い体の女性は色白で、フォーマルな紫色のワンピースを身に付けて立っている。
胸元にぶら下がった二連のパールネックレスは如何にもお祝いに来たように光り、ピンク色のチークを付けたメイクは慶事用に仕上がっているけれど、その顔は対照的に強張り、緊張した面持ちでいるのは明らかで……
「留衣」
何も言えないでいると私の側に厚志さんが来た。
振り向きもしないでいたらその人に向かい、丁寧にお辞儀をしてからお礼を言った。
軽快なノックの音に肩が上がり、ビクつきながらドアを振り返った。
「はい」と厚志さんが答え、ドアレバーが下がるのを見ていると、更に緊張は高まってーーー
「お待たせ致しました。ご到着になられましたよ」
そう言いながら入って来たのは柔らかな笑みを浮かべた廣瀬さんだった。
彼女に会うのはあの要塞屋敷を出て以来で、久し振りに会えたのが嬉し過ぎて、私は思わず名前を叫んだ。
「廣瀬さんっ!」
喜び勇んで迎えに行ったが、その後ろに立つ人の顔を見てビクッとなったまま立ち竦み……
「お母様ですよ、留衣様」
そう言って廣瀬さんは前を避けた。
細い体の女性は色白で、フォーマルな紫色のワンピースを身に付けて立っている。
胸元にぶら下がった二連のパールネックレスは如何にもお祝いに来たように光り、ピンク色のチークを付けたメイクは慶事用に仕上がっているけれど、その顔は対照的に強張り、緊張した面持ちでいるのは明らかで……
「留衣」
何も言えないでいると私の側に厚志さんが来た。
振り向きもしないでいたらその人に向かい、丁寧にお辞儀をしてからお礼を言った。