あなたの心を❤️で満たして
「新婦の笑顔を失くさせる親なんてその場に居合わせない方がいいんです。
此処で貴方と留衣に会えただけで幸せ。もうそれだけで十分過ぎるくらいに満足でした」


ありがとうとお礼を言うと、すっ…と後退りを始める。
厚志さんが焦ったように振り返り、いいのか!?という目で私を睨んだ。


「留衣っ!」


名前を叫ばれても動けなかった。
目の前で母がまた去ろうとしているのに。


「留衣様!」


廣瀬さんが何とか取りなそうと母を呼び止める。
待って下さいと願うのに、母は首を横に振るばかりでーー。


「留衣!本当にこのままでいいのか!?」


私に向き直った厚志さんが真剣な表情で聞いた。
今回の招待を考えたのは彼で、私は返信の葉書が届くまで知らなかったのだ。


「今日を逃したらもう二度と会えなくなるかもしれないぞ!それなのに、あっさりお母さんを帰してもいいのか!?

そんなことをしてお祖父さん達に恨まれないか?
自分を生んでくれた人に、お礼の一つも言わずに帰すのか!?


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