あなたの心を❤️で満たして
この家は要塞ですか?旦那さま
正面玄関を出ると黒沢さんは目の前に止まっていたタクシーに乗り込み、行き先を運転手に伝えている。
私が乗り込むとドアが閉まり、滑るように走り出す車内で少しホッとしていた。
てっきり誰かの迎えが来るのかと思っていたから、予想外のタクシーという乗り物に何処か安心感を覚える。
大きな製薬会社の役員をするような人だから、こんなものには絶対に乗らないのだと思っていた。
……でも、今伝えた住所が、これから住む場所になるのかどうか、まだそれすらも教えて貰ってない。
三上さんの話では、お披露目式の後で自宅となるべき家には行く筈…と言っていたがーー。
不安になりながら彼の方を振り向いてみたが、相変わらず正面だけを向き、少しもこっちを見ようとしない。
私などどうでもいいみたいな雰囲気で、これから一緒に暮らすんですよね?と問いかけたくなってくる。
これから先もずっと、彼はこんな感じでいるつもりなのだろうか。会話もなく、形だけは夫婦として暮らすのかな。
(そんなの嫌だな。例えお祖父ちゃん達に決められたご縁だとは言っても、折角夫婦になったんだからきちんと仲良く暮らしたいのに…)
私が乗り込むとドアが閉まり、滑るように走り出す車内で少しホッとしていた。
てっきり誰かの迎えが来るのかと思っていたから、予想外のタクシーという乗り物に何処か安心感を覚える。
大きな製薬会社の役員をするような人だから、こんなものには絶対に乗らないのだと思っていた。
……でも、今伝えた住所が、これから住む場所になるのかどうか、まだそれすらも教えて貰ってない。
三上さんの話では、お披露目式の後で自宅となるべき家には行く筈…と言っていたがーー。
不安になりながら彼の方を振り向いてみたが、相変わらず正面だけを向き、少しもこっちを見ようとしない。
私などどうでもいいみたいな雰囲気で、これから一緒に暮らすんですよね?と問いかけたくなってくる。
これから先もずっと、彼はこんな感じでいるつもりなのだろうか。会話もなく、形だけは夫婦として暮らすのかな。
(そんなの嫌だな。例えお祖父ちゃん達に決められたご縁だとは言っても、折角夫婦になったんだからきちんと仲良く暮らしたいのに…)