あなたの心を❤️で満たして
ちゃんと式に参列してもらって、目の前で幸せになりますと誓おうよ。
俺だって、留衣のお母さんに任せて下さいと胸を張って言いたいんだよ。

留衣を必ず幸せにしますからって。
だから、安心して下さいって言いたいんだ!」


必死な顔つきで言い続けるものだから、私は彼から目が離せなかった。

廣瀬さんも母も、そんな彼の背中を見つめていた。

彼の目の縁が赤く染まって、溢れ落ちそうになる光に気づいてハッとした。


「親との縁を切るなよ……。お母さんがいたから、留衣は此処にいるんだろ。
俺と会えたのもそれでだろ。だったら、帰しちゃ駄目だ……」


一年近く前、父に二度と家には来ないで欲しい…と言ってしまったことを、厚志さんは時々後悔していると話していた。

どんなに性が懲りなくても、来るなと言ったのは間違いだった。

あんな父親でも居たから、自分の側に私がいるんだと言い、もしも次に会えた時は、自己破産を勧めてみようと決めている。


それも全部私を一人きりにしない為に。
子供の頃と同じことを何度も繰り返させたくない為に。


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