あなたの心を❤️で満たして
「なんだ、そうか」


今少しホッとされた。
吐き出した息と一緒に声色が一瞬柔らかくなった。


(もしかしたら、彼も私との会話の接点を探していたのかな)


お互い初めて会った者同士、最初はどうしても探り合いになる。


「ごめんなさい。気にかけさせてしまって」


謝ると、別にいいよ…と言葉短く返ってくる。
その後はまただんまりに戻り、言葉を交わす前よりも緊張感が高まったなと感じる。


中途半端に会話なんてするものじゃないな。
この次に話すことが浮かんでこない。


今度は声を出さずに胸の中で「困った…」と言った。
ずっと車窓だけを見てるのもつまらないし、どうやって家に着くまでの時間を潰せばいいのだろう。


迷うように車窓の景色を眺めると、ビルばかりだった街中は通り過ぎ、少し郊外へと向いて走っているみたい。

スーパーなどの大型店舗が道路端に連なり、夕暮れに近い時間帯のせいか人通りも結構多い。



(……その割には緑が少ないな)


自分が住んでいた辺りとは違う雰囲気の街。
都会的で便利も良さそうだけれど、建物ばかりで寒々しいと言うか冷たい感じがする。


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