あなたの心を❤️で満たして
中途半端なお礼を言って外へと降り立つと、タクシーのドアはパタンと閉まった。
ロックの掛かる音が聞こえ、Uターンを始める車体の動きを見つめる。
彼の視線がこっちに向いたら、何処が新居なのかを聞こうと思った。
けれど、ぐるりと辺りを見回しても、家はやっぱりその要塞っぽいお宅しかなくて、もしやこれ?という疑問は、正に嫌でも確信に変わろうとしていた。
「行こうか」
あっさりとした感じで声をかけられ、待って…と流石に彼を止める。
振り向いた彼が不思議そうに私を見下ろし、こっちはその呑気そうな表情に問いかけた。
「行くって何処に行くんですか?もしかしてとは思うけど、あの要塞っぽい家ですか?」
右手の人差し指で家の立つ方向を指し示すと、一度だけ家の方を向いた彼が向き直り、平然と「そうだよ」と言い返してくる。
「あれは俺のお祖父さんが、俺たち二人にと言って残しておいた家なんだ。だから、君と俺以外、住む者は他にいない」
少々厳つい建物だけどね…と付け足し、それ以上は言葉を続けずに歩き出した。
ロックの掛かる音が聞こえ、Uターンを始める車体の動きを見つめる。
彼の視線がこっちに向いたら、何処が新居なのかを聞こうと思った。
けれど、ぐるりと辺りを見回しても、家はやっぱりその要塞っぽいお宅しかなくて、もしやこれ?という疑問は、正に嫌でも確信に変わろうとしていた。
「行こうか」
あっさりとした感じで声をかけられ、待って…と流石に彼を止める。
振り向いた彼が不思議そうに私を見下ろし、こっちはその呑気そうな表情に問いかけた。
「行くって何処に行くんですか?もしかしてとは思うけど、あの要塞っぽい家ですか?」
右手の人差し指で家の立つ方向を指し示すと、一度だけ家の方を向いた彼が向き直り、平然と「そうだよ」と言い返してくる。
「あれは俺のお祖父さんが、俺たち二人にと言って残しておいた家なんだ。だから、君と俺以外、住む者は他にいない」
少々厳つい建物だけどね…と付け足し、それ以上は言葉を続けずに歩き出した。