あなたの心を❤️で満たして
「…………」
私は暫く足を動かさずに彼の後ろ姿を見ていた。
要塞にロボットが入って行くーー。
どうしても、そういう雰囲気にしか見えなくて。
「どうしたの?付いて来ないと寒いだろ」
振り返った彼が私を視界に入れたまま言う。
確かに彼の言う通り、高台の所為で風は下よりも強い。
いつまでも此処に立っている訳にもいかないし、後を追わなきゃ…とは思うけれどーー。
思考とは反して、視線は走ってきた道の方を見つめ直す。
高級住宅が広がる街並みの上に建っている家は、まるで軍艦か何かの司令塔の様。
(お祖父ちゃん……私を何てとこにお嫁に出す約束をしてくれたのよ……)
亡くなっている祖父を逆恨みしながら踵を返した。
ようやく付いてくる気になった私に安心したのか、黒沢さんの顔が少しだけ微笑んでいる。
その顔を眺めながら、彼のこともまだよく知らないと思った。性格とか好みとか、自分に合う人ならいいけれど……。
(取り敢えず、この家だけは絶対に好きになれないと思う)
まるで石膏で押し固めた様な家。
庭の木々も見えない要塞へと、顔を強張らせて進んだ。
私は暫く足を動かさずに彼の後ろ姿を見ていた。
要塞にロボットが入って行くーー。
どうしても、そういう雰囲気にしか見えなくて。
「どうしたの?付いて来ないと寒いだろ」
振り返った彼が私を視界に入れたまま言う。
確かに彼の言う通り、高台の所為で風は下よりも強い。
いつまでも此処に立っている訳にもいかないし、後を追わなきゃ…とは思うけれどーー。
思考とは反して、視線は走ってきた道の方を見つめ直す。
高級住宅が広がる街並みの上に建っている家は、まるで軍艦か何かの司令塔の様。
(お祖父ちゃん……私を何てとこにお嫁に出す約束をしてくれたのよ……)
亡くなっている祖父を逆恨みしながら踵を返した。
ようやく付いてくる気になった私に安心したのか、黒沢さんの顔が少しだけ微笑んでいる。
その顔を眺めながら、彼のこともまだよく知らないと思った。性格とか好みとか、自分に合う人ならいいけれど……。
(取り敢えず、この家だけは絶対に好きになれないと思う)
まるで石膏で押し固めた様な家。
庭の木々も見えない要塞へと、顔を強張らせて進んだ。