あなたの心を❤️で満たして
「ソファへどうぞ。お茶を淹れて参りますので」


廣瀬さんが部屋から出ると黒沢さんは慣れた感じでソファへと向かい、上座に座り込むと足を組んでネクタイを緩めた。


「君も座れば?」


ドアの前にぼうっと突っ立っている私を呼んでいる。

朝から私はずっと「君」
入籍を済ませたとは言っても初対面なのだから無理もない。


「…………」


私は返事もしないで彼の居る方へと足を運ぶ。

グレーの革張りのソファは石の椅子のように思えたけれど、お尻を付けると吸い込まれそうな程柔らかだった。



「さすがに疲れたね」


「え…あ…はい」


首からネクタイを抜き取り、ワイシャツのボタンを外そうとしている人に目を向ける。
背の高い彼がソファに座っている姿は素敵で、まるでモデルの様にも見えてくる。

だからと言ってマジマジと見つめてしまうのもいけない。
チラチラと視線を別の方向に向け、部屋の中は他と比べて少し温かい雰囲気がしてるなと感じた。


部屋の壁には腰板が貼られてあった。
壁紙は薄いベージュで、それでも家の外や廊下に比べたらまだマシな方。

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