あなたの心を❤️で満たして
石を組まれた暖炉は重たい雰囲気もするけれど、火が付いたらそれなりに暖かく見えるのかもしれない。


(とにかく何でもかんでも毛嫌いしては駄目よね。これから此処に住むのなら少しくらい良い面を見つけないと)


明日から家の中を見て回ろう。
そんなことを思い始めているとノックが聞こえ、廣瀬さんがトレイを抱えて入ってきた。


「お待たせ致しました。お紅茶にしましたよ。コーヒーでは眠れなくなってもいけませんから」


廣瀬さんは年齢的に言うなら還暦を少し過ぎたくらいに見える。

中肉中背で肩幅が広く髪の毛は後ろでお団子にしてまとめ、メイド服は着ていないけれど、清潔そうな白いサロンエプロンを身に付けているからか、まるで食堂のおばちゃんの様な雰囲気だ。


「お夕食はお赤飯にしました。今日がご入籍の日ですからお目出度いことですので」


他にも鯛の塩焼きや茶碗蒸し、お吸い物を作りました…と自慢して、自分の勤務時間が午後七時までなので、それまでには二人とも下りて来て欲しいと告げた。



「分かった」


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