あなたの心を❤️で満たして

旦那さま、初夜ですよ！？

大きくカーブを描くように作られた階段を上がると、二階は家の表側だけに部屋が作られてあった。
長い廊下にはずらりとドアが並び、その端から端を眺め、自分たちの部屋はどれだろうかと思った。

黒沢さんは何も言わずに左端の方へと向かって歩きだした。その歩調に遅れないように付いて行きながら、今更だけど胸の中がドキドキしてくる。


よく考えてみれば、私は誰かと同じ部屋で寝起きをしたことがない。
幼い頃はともかく、物心ついてからは殆どない。

なのに、今日からはこの人と同じ部屋で寝起きをする。
同じベッドで休み、そして、休むだけじゃなくて、多分アレも……


（きゃ〜〜！想像しないようにしてたけど無理！！）


結婚するってことはつまり、エッチもするってことだよね。
キスの経験すらもないのに全部を一気にこの人とするの？


私が全部初心者だと知ったら、この人は何て思う？
今時の男性なら「重い」とか言うのかな。
…でも、重いも何も既に入籍も済ませたから夫婦な訳でーーー。



頭の中で悶々と思い悩んでいたら彼が一番端っこのドアの前で立ち止まった。