あなたの心を❤️で満たして
本来ならばドキドキする筈の初夜だけど、予想外の展開でハラハラする夜に変わっている。

慣れない家の中では一人きり。だから、物音も自分が立てる以外にはしなくて不気味だ。


「さっさと寝ちゃおう!眠れば怖くなんてない!」


勇気づけるように呟き、ぎゅっと布団を掴んで引っ張り上げる。

枕も布団もいい匂いがしている。
気持ちいいな…と思った矢先から欠伸が出てきて、あっという間に意識が薄れていった。



(お休みなさい……お祖母ちゃん……)



そのまま夢も見ないで朝方まで熟睡した……。





ーーーー明け方、淡い光の中にいた。
立っている場所は住み慣れた我が家で、観音開きの縦長窓の向こう側に無数の白い桜が咲き誇っている。


(帰ってきたんだ…)


そう思っても何処からというのが思い出せない。
でも、急いで祖父母に会わなくては…と思い出し、桜に背を向けて走り出した。



『お祖父ちゃん、お祖母ちゃん、何処!?』


二階のドアを次から次へと開けてみるけれど、何処にも祖父母の姿はない。

一階なのかと思い白い階段を下りて行く。

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