あなたの心を❤️で満たして
「……ご馳走さま。後は食べて」


イチゴをもう一つ摘まみ上げると、残りは私に差し出してくる。


「お坊っちゃま!」


そりゃ廣瀬さんも怒るよね。


「悪い、寝かせてくれ。今日はもう出掛けないで家に居るから」


そう言うと立ち上がり、ヨロヨロしながら出て行く。
廣瀬さんはその背中に向かってブツブツ…と文句を言い「仕様がない人だ」と零した。


「彼は毎朝あんな風なんですか?」


ポカンとして訊ねると、隣の椅子に座った廣瀬さんが「概ねそうですね」と呆れる。


「こんな食生活でよくもまあ、あそこまで大きく育ったものですよ」


お米を縦にして食べたのかしら…と呟く言葉に笑った。
祖母が同じ台詞を言っていたのを思い出したからだ。


「奥様、あんな変な人ですけど見捨てないで下さいね」


何だかんだと悪態を吐いても、廣瀬さんはやっぱり彼が可愛いみたい。


「そうですね。私も見捨てられないようにします」


まだちゃんと話してない。
彼が起きてきたら、お互いのことを話し合うところから始めてみよう。


朝食のフルーツは私の分を廣瀬さんにあげ、彼の残りを私が食べた。

新婚気分が少しでもいいから味わいたい…と何となく思ったからだーー。


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