あなたの心を❤️で満たして
黒沢さんが起きてきたのは夕方だった。
ぼうっとした表情でキッチンに現れた時は驚き、幽霊か何かが立っているのかと目を疑った。
「やっとお目覚めですか?お坊っちゃま」
嫌味たっぷりな感じで廣瀬さんが言うと、彼は小さな声で「ん…」と呟き、「コーヒーを」と囁いて逃げて行く。
丁度廣瀬さんから料理を教わっているところだった。
祖母が病気になってからは自分が家事をこなしていたけれど、自己流だったからきちんと知りたいと願ったのだ。
「全くもう愛想が無いんだから。…留衣様、あの朴念仁にコーヒーを一杯淹れてやって貰えますか?」
奥様と呼ばれるのは気恥ずかしいから止めて欲しいと頼んだ。それで廣瀬さんは私を名前で呼ぶように変えてくれたのだ。
「昼間に教えて貰った方法で淹れるんですよね」
いそいそとコーヒーミルを取りに行く。
廣瀬さんが言うには、黒沢さんは豆から淹れるコーヒーが好きらしく、今時流行りのマシーンで淹れたものは一切口にしないのだそうだ。
ぼうっとした表情でキッチンに現れた時は驚き、幽霊か何かが立っているのかと目を疑った。
「やっとお目覚めですか?お坊っちゃま」
嫌味たっぷりな感じで廣瀬さんが言うと、彼は小さな声で「ん…」と呟き、「コーヒーを」と囁いて逃げて行く。
丁度廣瀬さんから料理を教わっているところだった。
祖母が病気になってからは自分が家事をこなしていたけれど、自己流だったからきちんと知りたいと願ったのだ。
「全くもう愛想が無いんだから。…留衣様、あの朴念仁にコーヒーを一杯淹れてやって貰えますか?」
奥様と呼ばれるのは気恥ずかしいから止めて欲しいと頼んだ。それで廣瀬さんは私を名前で呼ぶように変えてくれたのだ。
「昼間に教えて貰った方法で淹れるんですよね」
いそいそとコーヒーミルを取りに行く。
廣瀬さんが言うには、黒沢さんは豆から淹れるコーヒーが好きらしく、今時流行りのマシーンで淹れたものは一切口にしないのだそうだ。