あなたの心を❤️で満たして
他はもう何も食べなくてもいいと思っていたのだけれど、彼はおにぎりも一口だけ齧ってくれて……。
もぐもぐと噛んで、それが喉を通っていった時は嬉しさが増し過ぎて、不意に涙が溢れそうになってしまった。
(……駄目駄目、泣くなんて)
こんな事くらいで泣いたりしたら、二人がどうしたのかと心配してはいけない。
気を引き締めて食事しようと目線を下に向け、今度は自分が黙々と食事する。
(……うん、美味しい)
黒沢さんが二杯も飲んだ味噌汁を味わいながら、その作り方を特に教えてくれた訳ではない祖母のことを思っていた。
ただ毎朝鰹節を削っていた手つきを側でじっと眺めていただけだったのだがーー。
ポトン…とお椀の中に雫が落ちて、気を抜き過ぎたと焦った。
ぎゅっと唇を噛んでお椀を顔に近付け、食べきるまでは顔から離さないようにした。
「お坊っちゃま!厚志様!お仕事ですよ!」
向かい側でいつの間にか居眠りモードに入った黒沢さんを廣瀬さんが揺り起こしている。
その様子に目を細めつつ新しく家族になった彼のことを見つめ、やっぱりきちんと夫婦らしくなりたいと思った。
もぐもぐと噛んで、それが喉を通っていった時は嬉しさが増し過ぎて、不意に涙が溢れそうになってしまった。
(……駄目駄目、泣くなんて)
こんな事くらいで泣いたりしたら、二人がどうしたのかと心配してはいけない。
気を引き締めて食事しようと目線を下に向け、今度は自分が黙々と食事する。
(……うん、美味しい)
黒沢さんが二杯も飲んだ味噌汁を味わいながら、その作り方を特に教えてくれた訳ではない祖母のことを思っていた。
ただ毎朝鰹節を削っていた手つきを側でじっと眺めていただけだったのだがーー。
ポトン…とお椀の中に雫が落ちて、気を抜き過ぎたと焦った。
ぎゅっと唇を噛んでお椀を顔に近付け、食べきるまでは顔から離さないようにした。
「お坊っちゃま!厚志様!お仕事ですよ!」
向かい側でいつの間にか居眠りモードに入った黒沢さんを廣瀬さんが揺り起こしている。
その様子に目を細めつつ新しく家族になった彼のことを見つめ、やっぱりきちんと夫婦らしくなりたいと思った。