あなたの心を❤️で満たして
「出たいです」


これじゃまるで家出したい様な答えか。
マズったと思ったけれど彼は特別気にしてない様子で。


「じゃあ着替えて集合。十五分くらいあれば準備出来る?」


「はい。十分です」


そう答えると満足そうに微笑み、それじゃまた後で…と部屋を出て行く。

閉められたドアを振り返りがら何の心境の変化かと思った。けれど、昨日の帰りに廣瀬さんが言っていた言葉を思い出して、成る程…と納得がいった。


『週末はお坊っちゃまと二人で仲良く』


自分は土日は来ませんからと言っていたのだ。
先週はお披露目式もあり、お祝いも兼ねていたから来ていたそうだ。


廣瀬さんはきっと彼にも同じことを言ったに違いない。それでこの一週間の罪滅ぼしでもしなさい、と彼に苦言を呈したのだ。



「なんだ…それでか……」


言われないと動かないんだ。
まあお坊っちゃまだし仕方ないな…と呆れつつ彼が飲んでいたコーヒーカップをトレイに戻した。


朝食を食べてくれたあの日以来、黒沢さんは私が作るものは必ず残さず飲食している。

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