あなたの心を❤️で満たして
それが夫の務めですと廣瀬さんに言われたのだろうと思い、理由は特に聞いてもいないけれど。



「それにしても出掛けるって何処へ?」


まさか本屋とか言わないよね。
きちんと緑とか風に触れられる場所だよね。


少し疑いながら着替えをしてメイクもやり直した。
五年間ほぼ引きこもり生活だったから今時の服装でもメイクでもないけれど。



「行こうか」


玄関で私を待っていた人はそう言い、先に靴を履いて出て行く。

黒のスニーカーなんて持ってたんだ。
それにジーパンを履いてる姿も初めて見るような。



(…ふぅん。新鮮)


そう思って後を追った。
家の裏手には大きなガレージがあり、その一つのシャッターを彼が開けてロックを外す。

私は車には詳しくないからサッパリ種類までは分からない。けれど、彼が運転するには小さい車だなと思え、でも中に入ると意外にも広いのかも…と考えた。



「どうぞ」


助手席のドアを開けられ、えっ…と見上げる。
もしかして、あまり話したこともないのに隣に座れと言うの?


< 92 / 283 >

この作品をシェア

pagetop