あなたの心を❤️で満たして
シートベルトを外してポケットからスマホを取り出す。
発信者の名前を確かめるとドアを開け、もしもし…と応えながら外へ出た。

出端を挫かれた様な気持ちでいると、電話を終えた彼が乗り込んできて……


「申し訳ないけどデートはまた明日にしてもいい?急に呼び出されたから大学へ行かないといけないんだ」


「デート?」


そんなつもりだったのか…と慌て、急にオタオタとしてしまった。私は軽い気分転換のつもりで、デートだとは思いもしなかった。


「ど、どうぞ。私は別に出掛けなくてもいいから」


運転席側に身を捩り、シートベルトのロックに手を掛ける。すると、彼が「ストップ!」と声をかけ、私はそのままの体勢で彼を見た。


「君も一緒に行こう。多分そんなに長くならないと思う」


目的地が変わっただけだと言いだし、私は唖然とするばかり。


「えっ…でも、お邪魔じゃないですか?」


そもそもさっき何て言った?大学に行かないといけない…とか聞こえたように思うけど……


「……あの、大学って何ですか?」


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