あなたの心を❤️で満たして
けれど、長い間お世話になった教授や仲間にそっぽを向くのは気が引けて、事ある毎に足を運んでいるのだと話した。


「入籍した日も教授から呼び出されたんだ。ずっと自分が携わってきた薬の臨床結果が出たもんだからスッゴく慌ててさ」


慣れない家で一人にさせられた理由を知り、そうだったんですか…と呟いた。


「……あ、もしかしたらあの朝も?」


廣瀬さんが新薬の共同開発がどうとか言っていた。
彼は、うん…と頷き、アメリカの姉妹校から一緒に開発しないかと打診を受けたと説明した。


「本来、薬の研究って極秘に近い感じなんだよ。だけど、姉妹校の研究チームとはテーマも同じだからタッグを組んだ方がいいだろうってことになって」


新しい薬を開発するにはお金もかかる。
白沢薬品は、黒沢さんが在籍していた研究室にも毎年寄付を続けていて、その使途確認も負っているのだと教えてくれた。


「寄付したお金で学生が飲み会やってたらいけないだろ」


まあたまには大目に見たりもするけどね…と笑い、その場には大抵自分が居るから…と付け足した。


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