世界一幸せな国Ⅱ※執筆再開
「次、ローナ・ボールドウィンさん」
バジルさんと同じく最上級生であろう先輩に呼ばれた。
「はい」
私が待機場所から立ち上がると、先輩は機械的に
「3番で測定してください」
と言う。
(出しすぎない、壊さない、出しすぎない、壊さない、出し……)
そう心の中で唱えながら測定器の前に立つと、今にも測定を始めようとしているユアンがこちらに気づいた。
ユ「ろーなー!おーい!!」
ブンブンと手を振るその姿は愛らしいものではあるが、今は試験の最中だ。
彼の集中力はどこに飛んでいってしまったのだろう。
「おーユアン。これは試験だぞ?少しおとなしくしろ」
私が笑顔で言うと、ユアンは「えっ……」と固まった。
周りは若干青ざめているようにも見える。
ユアンについては、私の反応が予想と違ったからだろう。
笑顔で手を振り返してもらえるとでも思ったのかもしれない。
周囲の人か驚いている原因は、また別だろう。
私の態度のせいだ。
大貴族の令嬢が怒ったことに青ざめているのか、品の無い貴族だとは思えない言葉遣いに青ざめているのかまでは分かりかねるが、怯えさせてしまっているのには違いがなかった。