世界一幸せな国Ⅱ※執筆再開
「バジルさんの言う通り楽しみだったから浮かれてるってのは朝から見てたから分かる。けど、はしゃぎすぎ。ちゃんと周りも見ろ」
私が再度注意すると、我に返ったユアンは落ち着きを取り戻し、周りに頭を下げた。
ユ「そうだね、ごめん。さすがに浮かれすぎた……みなさん、ご迷惑おかけしました」
それを見た先輩がユアンの背中に手を当てた。
ユ「すみません、今日がずっと楽しみで……」
ユアンの、先輩を見上げながら話すその姿は年相応だ。
先「もういいよ。せっかくの入学なんだから、笑顔で」
先輩に笑いかけられたユアンは、つられるように笑いながら「はいっ」と返事した。
それから測定器を壊すまでの時間、約5秒。
私が詳しい説明を受けていると、隣の机からパキッという小さな音が聞こえた。
その音を聞いていたユアンの両隣から視線が集まるが、当の本人は全く気づいていない。
──ミシッ……
「わっちょっユアン!」
ユ「へ?」
──メキメキッ……ガシャ……
ユアンが間抜けな返事をした頃には時すでに遅し。
測定器の画面が崩れ落ちていくのを私たちは目の当たりにした。